亡くなったら銀行口座はいつ凍結される?葬儀費用と病院代の支払いを実務目線で解説

ご家族が亡くなったあと、打ち合わせの席でよく聞く言葉があります。
「銀行!銀行に行かないと!」
「死亡届を出したら凍結するんですよね!?」
「今すぐATMへ行ったほうがいいですか?」
空気が一気に慌ただしくなります。
その焦りは当然です。
ですが、少し落ち着いて整理してみましょう。
亡くなった直後は、銀行だけでなく多くの手続きが同時に発生します。
全体の流れについては
▶ 広島市で亡くなったときの流れ【第1回】で整理しています。
(全6回のシリーズです)
口座は“死亡と同時に自動凍結”ではない
死亡届を提出したからといって、すべての銀行口座が即座に機械的に止まるわけではありません。
銀行が「亡くなった事実」を把握した時点で凍結されます。
・家族が銀行に連絡したとき
・金融機関が何らかの形で死亡を確認したとき
がきっかけになります。
「役所に出した瞬間に凍結」と単純に言えるものではありません。
亡くなってすぐ必要になるお金
実際にすぐ発生する支払いは、
・葬儀費用
・病院の最終精算
です。
病院代は想定より高額になることもあり、ここで焦りが強くなります。
凍結されたら葬儀費用は払えない?
結論から言えば、凍結されたからといって支払えないわけではありません。
実務では、
・相続人を代表して喪主が一時的に支払う
・相続人間で分担する
という形が一般的です。
これは「個人が故人の借金を背負う」という意味ではなく、
相続人の代表として一時的に立て替えるという位置づけです。
そして非常に重要なのが、
▶ 必ず領収書を保管すること
葬儀費用や病院代は、後の相続手続きで説明が必要になることがあります。
亡くなる前に引き出しておいたほうがいい?
ここもよくある質問です。
法的には、亡くなった瞬間から財産は相続人全員の共有財産になります。
そのため、
・生前に多額を引き出して特定の人が管理する
・亡くなった直後に単独で引き出す
行為は、後のトラブルにつながる可能性があります。
生活費や医療費など必要性が明確な支出であれば理解されやすいですが、
✔ 相続人間で共有すること
✔ 必要経費であることが説明できること
✔ 領収書を残すこと
が非常に大切です。
相続放棄を考えている場合は注意
相続放棄を検討している場合は、より慎重な対応が必要です。
故人の財産に手を付けたと判断されると、
相続を承認したとみなされる可能性があります。
相続放棄を考えている方は、銀行口座への対応も含めて慎重に判断することが重要です。
仮払い制度はあるが、対応は一律ではない
法律上、相続人が一定額を払い戻しできる制度(仮払い制度)はあります。
ただし、
・必要書類
・上限額
・手続き方法
は銀行ごとに異なる場合があります。
広島市内でも、同じ状況でも銀行によって対応が違ったというケースは珍しくありません。
複数口座・ネット銀行の問題
現在の高齢世代は、比較的制約なく複数口座を持てた時代です。
・使っていない口座
・存在を家族が知らない口座
・通帳が複数ある
というケースは珍しくありません。
さらにネット銀行は通帳がなく、存在に気づきにくい傾向があります。
ネット銀行やスマホアプリ内の口座については、
▶ 亡くなった方のスマホはどうすればいい?の記事もあわせてご覧ください。
生前にできること
・口座一覧を整理する
・家族に存在を伝えておく
・エンディングノートに記載する
・使っていない口座は元気なうちに解約する
口座が多いほど、凍結や確認の手続きは複雑になります。
元気なうちに整理しておくことは、大きな終活の一つです。
凍結された口座のお金は、最終的にどうなる?
銀行口座が凍結されたまま、ずっと動かないわけではありません。
最終的には、相続人が手続きを行い、
口座の解約と残高の払い戻しを受けることになります。
一般的な流れは、
- 相続人の確定(戸籍の収集)
- 遺産分割協議(誰がどの財産を受け取るか決める)
- 必要書類を銀行へ提出
- 指定口座へ払い戻し
という手順です。
遺言書がある場合は、その内容に沿って手続きが進みます。
相続人全員の同意が必要になるケースもあり、
時間がかかることも少なくありません。
そのため、凍結=お金が使えなくなる、というよりも、
「相続のルールに沿って整理されるまで一時停止される」
というイメージに近いものです。
まとめ
銀行口座は死亡と同時に自動凍結されるわけではありません。
凍結後も葬儀費用や病院代は支払えますが、
相続人を代表して立て替える形になることが多く、領収書の保管が重要です。
焦って動くよりも、状況を整理し、必要であれば銀行や専門家に確認しながら進めることが安心につながります。
銀行や相続の判断は、ご家族構成や状況によって異なることがあります。
具体的な対応については、金融機関や法律の専門家に確認しながら進めることをおすすめします。

