おじ・おばの終活と相続 ~動いた人が損をしてしまう現実とは~

おじさんやおばさんの終活、介護、相続。
それは決して他人事ではありません。
実子がいない場合、
その役割は姪や甥に回ってくることが少なくないからです。
今回は、実際にご相談を受けた3つのケースから、
「おじ・おばの終活で起きがちな現実」をお伝えします。

Mさんの場合
― 心配する人と、温度差のある人 ―
家族関係の整理
- Mさん(40代・女性)
- 姉:1人(独身・子どもなし)
- 両親:すでに他界
- 相談対象:高齢のおばさま(80代)
- 独身・子どもなし
- きょうだいはすべて他界
現在の身内は、
Mさん・お姉さま・おばさまの3人のみという状況です。
Mさんは、ご高齢のおばさまの今後が心配になり、
当社へご相談に来られました。
おばさまには不動産もあり、
行政書士の先生からは
「信託契約を検討してはどうか」という提案も。
Mさんご自身でも調べ、
養子縁組(戸籍上、おばさまの子になる)という方法まで考えられていました。
年齢や体調を考えると、
早めに動く必要がある案件です。
ところが――。
お姉さまに相談すると、返ってきた言葉は
「なんで、そんなにあれこれやらんといけんの?」
さらに、ご本人であるおばさまも
手続きの話を重ねるうちに
「そこまでせんでもええんじゃない?」という反応に。
心配して動いているMさんと、
周囲との間に、はっきりとした温度差が生まれていました。
これは、決して珍しいことではありません。
Cさんの場合
― 一人で動き、疑われる人 ―
家族関係の整理
- Cさん:姪
- 対象者:おじさま
- きょうだい:あり
- 他にも同じ立場の姪・甥が複数人
Cさんは、ご両親ではなく、
おじさまのことで長年動いてこられました。
おじさまの奥様が亡くなられてから、
通院、日常の世話、手続きなど、
ほぼすべてをCさん一人で担当。
他の姪・甥に協力をお願いしても、
返事はなく、取り合ってもらえません。
それどころか、
「財産を狙っているのでは」と言われたことも。
とてもつらいことです。
実の親のことならまだしも、
おじ・おばのために動いているのに――。
よく言われる言葉があります。
「おじさん・おばさんの終活は、動いた人が損をする」
たとえ長年介護をしても、
何もせず距離を置いていた人と、
法定相続では同じ取り分になることが多いのが現実です。
協力しなかった人ほど、
相続では「自分の権利」をしっかり主張されることもあります。
(それ自体は、法律上は悪いことではありません)
けれど、
心情としては、やりきれないものがあります。
Iさんの場合
― 役割を引き受け、準備した人 ―
家族関係の整理
- Iさん:姪
- 対象者:おばさま
- Iさんには兄がいるが、関与なし
Iさんは、幼い頃からおばさまにかわいがられてきました。
晩年のことも、おばさまから直接お願いされていたそうです。
Iさんはこう伝えました。
「ちゃんとやるけん、心配せんでいいよ。
でも、遺言書はきちんと作ろう」
そして、公正証書遺言を作成。
内容も、Iさんが納得できる形で整えられました。
Iさんはご両親の介護も経験されており、
「大変よ」と言いながらも、
どこか割り切った覚悟を持って対応されています。
MさんやCさんとは、
立っている位置と心構えが少し違うケースと言えるでしょう。
「縁起でもない」は、もう昔の話
かつては、
「死んだ後の話なんて縁起でもない」
と言われていました。
けれど今は違います。
特に、実子のいない方は、
- 介護を受ける立場になったとき
- お葬式やお墓をどうするか
- 財産や家をどう整理するか
これらを元気なうちに考えておかないと、
迷惑がかかる相手がはっきり存在します。
それは、
しばらく会っていなかった姪や甥かもしれません。
おわりに
「死ぬときはそのときのこと」
「誰にも迷惑はかけん」
そう思っていても、
現実には“動かざるを得ない人”が必ず出てきます。
その人が、
一人で悩み、傷つき、抱え込まなくて済むように。
おじ・おば世代の終活は、
家族全体への思いやりでもあるということを、
今一度、考えていただければと思います。


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