通夜にはいた喪主が、翌日いなくなった——葬儀の現場で起こり得ること

通夜の翌日、喪主はいなかった

葬儀の現場にいると、
教科書どおりには進まない出来事に、何度も立ち会います。

家族構成も、関係性も、これまでの積み重ねも、
一つとして同じものはありません。

今日は、葬儀の現場で実際に起こり得る出来事について、お話しします。


通夜には、確かに喪主がいた

そのご葬儀では、
通夜の席に、喪主を務める予定の長子(第一子)ご夫妻が参列されていました。

特別な様子はなく、
通夜自体は静かに、滞りなく終わっています。

ところが翌日、葬儀当日になっても、
式の開始時間になっても、喪主ご夫妻の姿が見当たりません。

結果的に、
お二人はそのまま会場に現れることはありませんでした。


きっかけは、通夜後の席での一言

後から分かったのは、
通夜後の食事の席で交わされた会話が、きっかけだったということです。

故人は生前、遺言書を残しておられました。
その内容の一部を、その場にいたご遺族の一人が口にしてしまったのです。

内容は、
喪主にとって、受け入れがたいものでした。

詳しい事情や背景について、
私たちが踏み込んで知る立場ではありません。

ただ、
ご遺族の距離感や言葉の端々から、
これまでに積み重なってきたものが少なくなかったことは、感じ取れました。


翌日、喪主はいなかった

翌日の葬儀。
喪主不在という、通常では考えにくい状況になりました。

印象的だったのは、
残りのご遺族が、比較的落ち着いて対応されていたことです。

前日の時点で、
「こうなる可能性」も、どこかで想定されていたのかもしれません。


葬儀と相続は、別のものです

葬儀は、故人に別れを告げる場です。
一方で、相続は、現実的で感情を揺さぶる問題です。

この二つは、切り離せない部分もありますが、
本来、同じ場で扱うべきものではありません。

悲しみの中にいるときほど、

・怒り
・不満
・過去のわだかまり

が、一気に表に出てしまいます。


伝える「タイミング」と「場所」

個人的には、
せめて通夜・葬儀を終えたあとであれば、
喪主として最後まで務めることができたのではないか——
そう思わずにはいられません。

ただ、これも家族の問題です。
私たち葬儀社が、答えを出せることではありません。

それでも、現場に立ち会う者として、
はっきり言えることがあります。

  • 葬儀の場は、話し合いの場ではないこと
  • 相続の話は、感情が最も不安定な時期に行うものではないこと

葬儀の現場では、こうしたことが起こり得ます

このような出来事は、決して特別な話ではありません。
葬儀の場には、
普段は表に出ない家族の歴史が、そのまま持ち込まれます。

だからこそ、

「何を、いつ、誰に伝えるのか」

それを事前に考えておくことが、
残された人たちを守ることにつながるのだと、私たちは感じています。

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