親に「生きがいを持ってほしい」と思うのは、子どもとして自然な気持ち?

はじめに
「親に、何か生きがいを見つけてほしい」
「趣味でもいいから、楽しみを持って過ごしてほしい」
親の年齢を重ねるにつれ、そんな気持ちを抱く子ども世代は少なくありません。
一方で、「余計なお世話かもしれない」「口出ししない方がいいのでは」と、迷いを感じることもあるのではないでしょうか。
この記事では、子ども目線から見た“親の生きがい”への思いについて、静かに整理していきます。
親を心配してしまうのは、なぜでしょうか
子どもが親の生き方を気にかけるようになる背景には、いくつかのきっかけがあります。
- 以前より外出しなくなった
- 趣味や楽しみの話を聞かなくなった
- 会話が減った、元気がないように感じる
- 配偶者を亡くしてから、一人の時間が増えた
こうした変化を目にすると、
「このままで大丈夫だろうか」
「孤独を感じていないだろうか」
と、不安になるのはごく自然なことです。
「生きがいを持ってほしい」という願いの正体
子どもが親に生きがいを持ってほしいと願うのは、
親を変えたいからではなく、心配だからという場合がほとんどです。
- 元気で長く生きてほしい
- 寂しい思いをしてほしくない
- 最後まで自分らしく過ごしてほしい
そうした思いが、「何か趣味でも始めてほしい」という言葉になって表れるのです。
でも、親にとっては簡単なことではありません
一方で、親世代にとって「新しい生きがいを見つけること」は、決して簡単ではありません。
- 今さら始めても意味がないと感じてしまう
- 体力や気力の衰えを自覚している
- 誰かと比べられるのがつらい
- 一人で始めることに不安がある
子どもから見れば前向きな提案でも、
親にとっては負担やプレッシャーになることもあります。
生きがいは「目に見えるもの」だけではありません
私たちはつい、「趣味がある=生きがいがある」と考えがちです。
しかし、生きがいの形は人それぞれです。
- 毎日の散歩
- テレビを見る時間
- 家族と話すこと
- 仏壇に手を合わせる時間
- 何もしない時間を大切にすること
外からは分かりにくくても、
本人なりのペースで心を保っている場合も少なくありません。
子どもとして、できることは何でしょうか
親に生きがいを持ってほしいと思ったとき、
子どもができることは「何かを始めさせること」ではありません。
いちばん大切なのは、親の人生を変えようとしないことです。
①「何か始めたら?」より、「最近どう?」と聞く
「趣味を持ったほうがいいよ」「外に出たほうがいいよ」
こうした言葉は、善意であっても親を追い詰めてしまうことがあります。
代わりに、
- 「最近、体調はどう?」
- 「今日は何してたの?」
- 「今、困ってることある?」
といった答えに正解のない質問を投げかけることで、
親は「評価されているわけではない」「否定されているわけではない」と感じやすくなります。
② できていないことより「続いていること」に目を向ける
子どもはつい、
- 外に出ない
- 新しいことをしない
- 元気がなさそう
といった「減ったもの」に目が向きがちです。
けれども、
- 毎日テレビを見ている
- 散歩だけは続けている
- 仏壇に手を合わせている
こうした小さくても続いていることは、
親にとっての大切な支えになっている場合があります。
③ 変えようとせず、「今の状態」を認める
「もっと楽しく過ごしてほしい」という思いが強いほど、
子どもは無意識に“今は足りていない”という前提で接してしまいます。
でも、
- 何もしない時間を大切にしている
- 一人の静かな時間が心地いい
という選択も、立派な生き方です。
「そのままでいい」という姿勢が、
親にとっては何よりの安心になります。
④ 心配している気持ちは、責めずに伝えてもいい
何も言わずに我慢し続ける必要はありません。
ただし、
- 「だから○○しなさい」ではなく
- 「心配している」という気持ちだけを伝える
ことが大切です。
例:
「無理に何かしてほしいわけじゃないけど、
ちょっと元気がないように見えて心配になってね」
この一言だけでも、
「気にかけてもらっている」という安心感につながります。
⑤ 何もしないことも、立派な関わり方
連絡をする
話を聞く
変わらず接する
それだけで、親にとっては十分な支えになっていることもあります。
何か成果を出さなくても、何かを始めさせなくてもいい。
「気にかけている存在がいる」という事実そのものが、
親の心を支えることがあるのです。
それでも不安になるとき
親の将来や最期を考えるようになると、
自分自身の不安や戸惑いも大きくなります。
それは、親を大切に思っているからこそ生まれる感情です。
そうした気持ちを抱くこと自体が、決して間違いではありません。
おわりに
親に生きがいを持ってほしいと願う気持ちは、
子どもとしてとても自然で、やさしい感情です。
ただ、生きがいの形やタイミングは、本人にしか分からないものでもあります。
焦らず、比べず、そっと見守ることも、立派な支え方の一つです。
親の人生の後半に寄り添おうとするその気持ちを、
どうか大切にしてください。

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